30歳からでも遅くない
30歳から新しいことを始めたり、キャリアを変えたりすることは、不可能ではない。
僕は30歳から未経験でMMA(総合格闘技)を始め、34歳になる約1週間前に修斗でプロデビューした。遅咲きではあったが、修斗新人王準優勝を獲得。戦績は8戦4勝3敗1分けで、高戦績とは言えないが、今でも現役バリバリの若い選手に勝てる自信はある。
夢を夢で終わらせたくなかった
格闘技を始めたいと思ったきっかけは、中学生の頃、年末にテレビで見た格闘技イベント(おそらくK-1 PREMIUM Dynamite!!)だった。
脚光を浴びている選手たちを見て、生意気にも「自分の方が強い」と感じた。
高校生の時、友達や先輩とスパーリングをして遊んだものの、近所に格闘技ジムもなく、格闘家への憧れは遠い夢になった。気づいたら社会人になり、アラサーになっていた。
そんな中、仕事で格闘技ジムを訪問する機会があり、それをきっかけに格闘技ジムに通うことになった。
入会時に、「プロになりたい。そしてチャンピオンを目指したい」と、ジム長のパトリックに僕の目標を伝えたのを覚えている。
素質(DNAと生い立ち)が重要であるという不都合な真実
僕は30歳から格闘技を始めてプロになれたが、格闘技への適性があったというのも事実だ。
幸い、僕は身体能力には自信があった。飛び抜けて優れていた種目はないが、体力テストの総合点はクラスでもトップ、もしくは2番目だった。
小学校5年の3学期から高校1年まで、柔道を続けていたバックボーンもある。
性格もしつこく、5人兄弟の貧しい家庭で育ち、悔しい思いをたくさんしたので、人並み以上のハングリー精神もあった。
飽きっぽく、めんどくさがりな性格だが、好きなことだけは無我夢中になり、集中して継続する力もあった。
これらの資質が、30歳から格闘家になるというキャリア変更を現実にしてくれた大きな要因であったことは、無視できない。
いくら好きでも、150cmの男性はバスケットボール選手にはなれない。冷酷なようだが、キャリア選びは情熱だけではなく、素質や適性も大事なのだ。
30歳からプロを目指すために僕が実践したこと
30歳からプロスポーツへキャリア変更するというのは、現実的には甘くない。年齢的に不利な条件が揃っていた。
一般的に、身体能力の一部は20代をピークに加齢の影響を受ける。また、運動技能は幼少期から青年期にかけて身につけることで、効率的に習得しやすい。
おまけに、MMA(総合格闘技)は複雑な競技だ。
大きく分けて、レスリング、ムエタイ、柔術の3種目を独立して習得し、それをさらに組み合わせて、自分のファイトスタイルを確立させる必要がある。
30歳から始めた僕は、効率的に技能を高めるために、下記のことに着目した。
- 信念。
自分はプロになれると、心の底から疑わずに信じていた。 - プロ意識。
仕事だと思って練習に取り組んだ。プロと同じ練習スケジュールを意識し、1日2部練習を心がけた。 - 自主性。
自分が自分のヘッドコーチとなり、積極的に練習種目やスケジュールをデザインした。 - バランス。
MMAジムのほかに、ボクシング、キックボクシング、柔術、ウェイトリフティングジムなどを組み合わせて、満遍なく技能を習得した。そうすることで、弱点のない選手を目指した。 - 実戦。
実戦に強くなるために、アマチュアの試合には機会があればどこへでも行き、戦った。アマチュアMMAは4年間に7つの異なるプロモーションで33戦した。その他、キックボクシングやグラップリングの大会にも積極的に出場し、大会や本番に慣れた。 - コンディション。
S&C(ストレングス・アンド・コンディショニング)を行い、怪我をしない、強い体を作った。睡眠の質を測るリングや体組成計を購入し、リカバリーにも気を遣った。 - 食事の改善。
スポーツ栄養学も勉強し、加工食品中心の食習慣から自然食中心へと切り替えた。 - 動画で学ぶ。
世界で活躍するコーチやプロ選手の教則動画やインタビュー動画をあさるように見た。一流の選手やコーチがどのようなアプローチをしているのかを研究した。 - 本を読む。
別競技の本でも、戦略、メンタル、スポーツ科学に関しては共通することが多かった。技術書から自伝に至るまで、良いと思うものは読み漁った。
20代前半の頃より、30歳の僕は賢かった。また、タイムリミットを意識していた分、成長にはハングリーだった。
若い選手より人生経験が長い分、主体的に目標を達成する方法を身につけていったと思う。
それこそが、30歳からキャリアを変えるメリットであると思う。
一つの分野でその道の熟達者になれば、他の分野に挑戦したとしても、同じフレームワークが通用することが多い。
30歳は、これまでの経験を活かしながら、新しいことに挑戦できる若さも兼ね備えた、良いタイミングだと思う。
僕は死ぬまで挑戦者でありたいと思う。
みんなも挑戦しよう!

