総合格闘技実業団トップティアを始めた時、とにかく小さく始めた。
本当は、いきなり日本一素晴らしい環境を一瞬で作って、「さあ、来なさい!」と、日本中から有望な選手を募集したかった。
アメリカフロリダ州のアメリカン・トップチームなどに代表される、圧倒的な施設規模と充実した設備、そして優秀なスタッフ陣が常駐する「メガジム」が理想だった。
だが、そんな立派な実業団を立ち上げるほどの知識経験、業界での権威、予算もなかった。(できたとしても、今の日本のMMAの市場規模には、そもそも成り立たないモデルだ)
だから僕は、できるだけ小さく始めた。
まず、2022年5月にスタートしたジムスペースは有料老人ホーム6階のエレベーターホールだった。ジムは狭かった。
下の階に音が響く問題があった。エレベータからの導線上にマットがあり生活動線とバッティングしていた。

3年後、2025年の夏、オクタゴン(競技場として使われる八角形の金網リング)が届いた。TOPTIER Fighting Championshipで使用するために、クラウドファンディングで230万円集め(奇跡)予算がなかったにも関わらず、多くの方々の寄付によって購入できた。これをオリーブホーム1Fのデイルームの片隅に設置し、夜間の練習場となった。
その翌年、2026年6月、練習場所はベテルホーム1Fへと移り、さらに須崎市の協力で柔道畳36畳(今月中に43畳になる予定)設置した。

「アジャイル開発(Agile Development)」というものがある。
それは、最初から完璧な製品を作るのではなく、まず最低限のものを作る
→ ユーザーに使ってもらう
→ フィードバックを得る
→ 改善する
つまり、まず小さく作って市場の反応を見ながら改善するというアプローチだ。
トップダウンで完成されたものを一方的に提供するのではなく、ユーザーの声を吸い上げながら、試行錯誤を重ね、自然に発展させていく。
総合格闘技実業団トップティアを始めた時、このアジャイル開発というアプローチを意識した。というか、このアプローチを取るほかなかったと言った方が正解かもしれない。
どんな大波も1点から始まる。一点から波紋ができるように、高知県須崎市から大きな渦を巻き起こしたい。


